土佐の自然ギャラリー 画像解説 1387

ハサミシャコエビ (撮影:町田吉彦)

解 説
 シャコ? エビ? どっち? と混乱しそうですが,ハサミシャコエビはハサミシャコエビ科の甲殻類です.

 本科は,エビ目のアナジャコ下目に分類されます.高知県下で見ることができるアナジャコ下目の他の科に,スナモグリ科とアナジャコ科があります.本科はこれらの2科と異なり,第1脚が完全なハサミとなります.

 アナジャコ下目の頭胸甲は,石灰化が完全でないことがほとんどです.画像2の矢印はアナジャコ線(=タラシナ線,linea thalassinica)を示します.普通のエビやカニ類にはこの線がありません.アナジャコ線がある場合,これの左右の部分が完全に癒合しません.

 本種は潮間帯の礫の多い砂泥地に穴を掘って生活しています.全長5cmを超える個体もまれにいますが,このような個体の穴の深さは70-80cmにもなりますから,まともに掘り出すのは大変な作業です.しかし,穴の中に溜まった砂泥を丸め,ハサミで押し出しますから,スコップを手にかまえ,穴の側で待ちかまえていると簡単に採集できます.押し出された砂泥は高さ10cmほどの塚になります.

 体に短毛があり,穴から掘り出した時は泥だらけ(画像1,2).しかし,泥を落とすと案外きれいです(画像3).彼らがせっせと掘る穴は干潟の浄化に貢献していると考えられています.穴の中に海水が入ることで底質の深い場所に酸素が供給され,また,彼らが穴の中で動くことでそれが促進されます.このことを生物攪拌と呼んでいます.

 本種は,浦戸湾,甲殿川河口域,浦ノ内湾,須崎湾などで容易に観察できますし,体長1-2cmの個体も採集できます.しかし,これらの干潟ならどこにでもいる訳ではありませんので,大切にしたい動物です.

写 真
1 & 2-2004年3月9日;3-2003年6月15日;1-3高知市灘(浦戸湾)
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